基本情報技術者試験の頻出テーマ:オブジェクト指向(OOP)とは?
オブジェクト指向(Object-Oriented Programming:OOP)とは、データ(属性)と処理(操作)をひとまとまりにした「オブジェクト」を中心にプログラムを構築する考え方です。
システムを現実世界のモノや概念に近い形で捉えるため、再利用性や保守性に優れた設計が可能になります。
オブジェクト指向の3大要素
- カプセル化(Encapsulation)
データと処理をひとまとまり(クラス)にして外部から隠す
- 継承(Inheritance)
既存のクラス(親)をもとに新しいクラス(子)を作り、共通処理を引き継ぐ
- ポリモーフィズム(多態性 / Polymorphism)
同じメソッド名でもオブジェクトに応じて異なる動作をする
主な用語と概念
- クラス(Class): オブジェクトの設計図
- オブジェクト: クラスから生成された実体
- メソッド: オブジェクトが持つ操作(関数)
- プロパティ: オブジェクトが持つデータ(属性)
- コンストラクタ: オブジェクト生成時に自動で呼ばれる初期化処理
例(Java風の記述)
class Animal {
String name;
void speak() {
System.out.println("...");
}
}
class Dog extends Animal {
void speak() {
System.out.println("ワン!");
}
}
オブジェクト指向のメリット
- 現実世界の構造に近く、直感的に設計できる
- 再利用性が高く、メンテナンスが容易
- プログラムの部品化(モジュール化)による分業開発がしやすい
デメリット・注意点
- 小規模なプログラムでは冗長になりやすい
- 設計が複雑になりがちで、慣れるまで理解が難しい
手続き型言語との違い
比較項目 | 手続き型 | オブジェクト指向型 |
中心となる考え方 | 処理(手続き) | オブジェクト(データ+処理) |
再利用性 | やや低い | 高い(継承で再利用) |
拡張性 | 限定的 | 高い(ポリモーフィズム) |
主な言語 | C, Pascal | Java, C++, Python, Ruby |
基本情報技術者試験での出題ポイント
- クラスとオブジェクトの違い
- カプセル化・継承・ポリモーフィズムの理解
- オブジェクト指向の設計思想(再利用・保守性など)
- 手続き型との違い
まとめ
- オブジェクト指向は「データと処理をひとつの単位として扱う」考え方
- カプセル化・継承・ポリモーフィズムが中核
- 大規模・複雑なシステムの開発に適している
- 試験では設計思想と用語の理解が問われる
オブジェクト指向は、現在のソフトウェア開発における主流の考え方です。
基本情報技術者試験では概念の理解と用語の正確な使い分けがカギとなります。図解や実例を通じて、しっかりイメージを持ちましょう。