応用情報技術者試験のモデリング技術:ユースケース図とは?
ユースケース図とは、システムの利用者(アクター)と、そのシステムに期待される機能(ユースケース)の関係を視覚的に表す図です。
UML(統一モデリング言語)の一つであり、主に要求定義や外部設計の初期段階で用いられます。
ユースケース図の目的
- システムに期待される機能を整理・把握する
- 関係者(ユーザー、顧客、開発者)の共通理解を形成する
- システムの振る舞いを、非技術者にもわかりやすく伝える
ユースケース図の構成要素
- アクター(Actor): システムの外部に存在し、システムとやり取りする利用者や他システム
- ユースケース(Use Case): アクターがシステムに対して実現したい目的や操作
- システム境界: ユースケースが属する対象システムの範囲
- 関係線(Association): アクターとユースケース間のやり取りを示す線
例:図書館システムのユースケース図
【アクター】 【ユースケース】
利用者 ─────────→ 本を検索する
─────────→ 本を予約する
─────────→ 本を借りる
管理者 ─────────→ 本の登録・削除
関係の表現
- include: ユースケースが他のユースケースを必ず含む(共通処理の明示)
- extend: 条件により拡張的に実行されるユースケース
- 汎化(generalization): アクターやユースケースの継承関係
ユースケース図の特徴
- 業務の視点に近く、ユーザー視点で設計される
- 機能一覧を構造化して見える化できる
- 技術的な詳細よりも「何をするか」に焦点をあてる
応用情報技術者試験での出題ポイント
- アクターとユースケースの区別
- include/extendの使い分け
- 図を見て、機能と関係を読み取れるかどうか
学習のコツ
- 「誰が、どんな操作をするか」を自然言語で書き出してから図にする
- 複雑にしすぎず、関係性を整理するための図と意識する
- 日常のサービス(ATM、通販、予約システムなど)を題材に練習する
まとめ
- ユースケース図: 利用者とシステム機能の関係を図式化
- アクター・ユースケース・関係の理解が重要
- 試験では読解・関係性の把握が問われる
ユースケース図は、ユーザーのニーズを機能へと落とし込む「橋渡し」の役割を果たします。
応用情報技術者試験では、単に図を描くだけでなく、「誰が・何を・なぜするか」という本質を読み解く力が問われます。