応用情報技術者試験のプロジェクト管理:スコープ管理とは?
スコープ管理(Scope Management)とは、プロジェクトで実施すべき作業内容(=スコープ)を定義し、計画通りに実行・管理するための活動です。
スコープ管理は、「やるべきこと」と「やらないこと」を明確に区別し、計画の逸脱や無駄な作業の発生を防ぐための重要な管理領域です。
スコープ管理の目的
- プロジェクトの成果物と作業範囲を正しく定義する
- 計画外の作業(スコープクリープ)の発生を防止する
- 変更が発生した際の影響評価と適切な対応を可能にする
スコープ管理の主なプロセス
- 1. スコープの計画: スコープをどのように定義・管理するかを決める
- 2. 要求事項の収集: ステークホルダーから要求を引き出し、明文化する
- 3. スコープの定義: プロジェクトに含まれる作業と成果物を明確に記述
- 4. WBSの作成: 作業を階層的に分解し、管理可能な単位にする
- 5. スコープの検証: 完了した成果物が要求を満たしているかを確認
- 6. スコープのコントロール: 変更要求に対する評価・調整・承認を行う
WBS(Work Breakdown Structure)の役割
- プロジェクト全体の作業を構造化し、抜けや重複を防止
- 見積・担当・進捗管理・コスト管理などの基礎単位になる
- WBSは、成果物ベースで作成するのが一般的
スコープクリープとは?
スコープクリープ(Scope Creep)とは、正式な変更手続きを経ずに、プロジェクトの作業範囲が徐々に拡大してしまう現象です。
納期遅延・コスト超過・品質低下の原因になるため、スコープの明確化と変更管理が不可欠です。
スコープ管理に関連する文書
- プロジェクト憲章: 目的・成果・責任などの基本的な合意
- スコープ記述書: 成果物の詳細と作業境界
- 要求事項文書: 利害関係者の要望や条件を明文化
- WBS辞書: 各WBS要素の内容・基準・責任者などの補足情報
応用情報技術者試験での出題ポイント
- スコープ管理のプロセスとWBSの役割
- スコープ記述書やWBS辞書の内容と使い方
- スコープクリープの意味と防止方法
- 成果物と作業内容の明確な区別
学習のコツ
- 「何をするか/しないか」を明確にするのがスコープ管理と意識する
- WBSの構造図を実際に描いてみて、管理の視点を体感する
- 変更管理のルールづくりもスコープコントロールの一環であることを意識する
まとめ
- スコープ管理: プロジェクトの「範囲」を定義・整理し、コントロールする活動
- WBSの作成は、作業の明確化・分担・進捗管理の基本
- 試験では、WBSの役割やスコープコントロールの手法が頻出
スコープ管理は、プロジェクト成功の土台となる「作業の範囲」を決める重要な活動です。
応用情報技術者試験では、WBSやスコープクリープなどの用語理解と、管理プロセスの流れを正確に把握することが求められます。