応用情報技術者試験のITサービスマネジメント:インシデント管理とは?
インシデント管理(Incident Management)とは、ITサービスの中断や低下につながる予期しない出来事(インシデント)に迅速に対応し、通常の状態に回復させるための管理プロセスです。
ITIL(ITサービスマネジメントのフレームワーク)における重要な運用管理プロセスのひとつです。
インシデントとは?
- ITサービスの中断や品質低下を引き起こす、または引き起こす可能性のある事象
- 例:サーバーダウン、ネットワーク障害、アプリケーションエラー、プリンタの故障など
インシデント管理の目的
- 影響を最小限に抑えながら、できるだけ早くサービスを復旧させる
- ユーザーの業務影響を軽減し、満足度を維持する
- 再発防止ではなく、あくまで「早期回復」に重点を置く
インシデント管理の主な活動
- 1. インシデントの受付: ユーザーや監視ツールからの報告
- 2. インシデントの記録: 発生日・影響範囲・内容などを記録
- 3. 優先度の決定: 影響度と緊急度から優先順位を設定
- 4. エスカレーション: 必要に応じて上位サポートに対応依頼
- 5. 回復処理: 一時対応または恒久対策による復旧
- 6. インシデントの終了・記録: 終了後に履歴を保存し、後で分析に活用
障害管理との違い
- インシデント管理: 障害の「影響」に焦点を当て、迅速にサービスを回復
- 問題管理(Problem Management): 障害の「根本原因」にアプローチし、再発防止を図る
サービスレベル管理との関係
- インシデント対応時間は、SLA(サービスレベル合意)に含まれることが多い
- 復旧時間や報告頻度などの基準をSLAに明記しておくことで、サービス品質が保たれる
インシデント管理の効果
- サービス停止時間の短縮
- ユーザー満足度の向上
- 同様の障害に対する迅速な対応と知見の蓄積
応用情報技術者試験での出題ポイント
- インシデントの定義と具体例
- インシデント管理のプロセスと目的
- 問題管理との違い(原因追及ではない)
- SLAとの関係(復旧時間、優先度)
学習のコツ
- 「問題 vs インシデント」の違いを整理する
- 現実のIT障害を想像し、「何を優先するか」で考える
- ITILの用語や流れに慣れておく
まとめ
- インシデント管理: サービス中断を素早く回復させ、業務への影響を最小限に抑える活動
- 問題管理とは異なり、再発防止よりも回復の速さを重視
- 試験では、用語・目的・関連プロセスの理解が問われる
インシデント管理は、ITサービスを安定して提供するための基本的な運用管理です。
応用情報技術者試験では、目的・手順・関連用語の正しい理解が求められます。実際の障害対応をイメージして学習しましょう。