応用情報技術者試験のセキュリティ基礎:ハッシュ関数とは?
ハッシュ関数(Hash Function)とは、任意の長さのデータから固定長の文字列(ハッシュ値)を生成する関数です。
データの同一性の確認や、パスワード管理、電子署名など、セキュリティ分野で幅広く利用されます。
ハッシュ関数の特徴
- 入力データが異なれば、出力(ハッシュ値)も異なる
- ハッシュ値は一定の長さ(例:SHA-256では256ビット)
- 一方向性: ハッシュ値から元のデータを復元することはできない
例:ハッシュのイメージ
入力: "hello"
→ ハッシュ値: 2cf24dba5fb0a30e26e83b2ac5b9e29e...
ハッシュ関数の用途
- データの改ざん検出: ファイルの整合性チェック(ハッシュ比較)
- パスワード管理: 元のパスワードを保存せず、ハッシュ値を保管
- 電子署名: メッセージのダイジェスト作成に使用
ハッシュ関数に求められる性質
- 衝突耐性: 同じハッシュ値を生成する異なるデータを見つけにくい
- 第二原像困難性: 同じハッシュ値を与える別の入力を見つけるのが困難
- 一方向性: ハッシュ値から元のデータを推測できない
代表的なハッシュ関数
- SHA-2(SHA-256, SHA-512): 現在主流。安全性が高い
- SHA-1: かつて広く使われていたが、衝突が発見され使用非推奨
- MD5: 古い方式で、現在はセキュリティ面で問題がある
ハッシュ関数と暗号化の違い
項目 | ハッシュ関数 | 暗号化 |
目的 | 同一性の確認 | データの秘匿 |
復号 | できない(不可逆) | できる(可逆) |
使用例 | パスワード照合、改ざん検出 | 通信の秘匿、データ保護 |
応用情報技術者試験での出題ポイント
- ハッシュ関数の性質と代表的な用途
- ハッシュ値の使いどころ(署名、パスワード、検証)
- 暗号化との違い、一方向性と衝突耐性の理解
学習のコツ
- 実際にハッシュツールで文字列を変換してみる
- 「変換後は戻せない」「同じ入力→同じ出力」を意識して覚える
- 暗号技術と混同しないように整理して覚える
まとめ
- ハッシュ関数: 任意長データから固定長の値を生成する一方向関数
- 用途は、改ざん検出・パスワード保護・電子署名など
- 試験では、「性質」「用途」「暗号化との違い」が頻出
ハッシュ関数は、セキュリティの信頼性を支える基本技術です。
応用情報技術者試験では、実際の利用シーンと機能の違いを理解し、暗号との比較や適切な活用方法を問う問題が多く出題されます。