応用情報技術者試験のデータベース設計:正規化とは?
正規化(Normalization)とは、関係データベースにおいて、データの冗長性を排除し、整合性を保ちながら効率的に管理できるようにする設計手法です。
複雑なテーブルを複数のテーブルに分割し、構造を論理的に整理することで、データの一貫性と保守性が向上します。
正規化の目的
- データの重複(冗長性)をなくす
- 更新・挿入・削除時の異常(不整合)を防ぐ
- 論理的に整ったデータ構造を実現する
正規化の段階(第1〜第3正規形)
第1正規形(1NF)
- すべての列が「単一値(スカラ値)」である
- 繰り返し項目や配列のような構造を排除
- 例:1行に複数の電話番号を持つ → 別テーブルに分ける
第2正規形(2NF)
- 第1正規形を満たし、かつ、主キーに対して「部分関数従属」がない
- 複合主キーを使う場合、一部のキーにだけ依存する属性は分離
第3正規形(3NF)
- 第2正規形を満たし、かつ、「推移的関数従属」がない
- 主キー以外の項目によって決まる列は、別テーブルに分ける
正規化の例(簡略)
■未正規化テーブル
注文ID|顧客名|商品名1|商品名2|...
↓ 第1正規化
注文ID|顧客名|商品名
↓ 第2正規化
顧客情報:顧客ID|顧客名
注文情報:注文ID|顧客ID|商品名
↓ 第3正規化
商品情報:商品ID|商品名
注文情報:注文ID|顧客ID|商品ID
正規化のメリットと注意点
- データの整合性・一貫性を保ちやすくなる
- 更新・削除時の異常が起きにくい
- ただし、結合が多くなり、パフォーマンスに影響することもある
応用情報技術者試験での出題ポイント
- 正規化の目的とメリット
- 各正規形の定義と違い
- 関数従属・主キー・推移的関係の理解
- 正規化によって分割されるテーブル構造の設計
学習のコツ
- 「何によって何が決まるか」を意識して属性間の関係を考える
- 実際の業務(注文管理・社員管理など)を題材に手を動かす
- 第1〜第3正規形は図解・具体例で比較すると理解しやすい
まとめ
- 正規化: 冗長性を排除し、整合性のあるテーブル構造に変換する作業
- 第1〜第3正規形で、段階的に構造を整える
- 試験では、関係性の理解と表の分割判断がよく問われる
正規化は、効率的で安全なデータベース設計の基礎です。
応用情報技術者試験では、正規化の意図と処理手順を理解し、テーブルの分割や関係の見直しを判断できる力が求められます。